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【2006/6】焦茶色のパステル

№60 焦茶色のパステル 作者『岡嶋 二人』 ★★★

 徳山諄一と井上夢人の共作である「岡嶋二人」が1982年に「江戸川乱歩賞」を受賞した、競馬ミステリィの古典である。
 サラブレッドの牧場で、牧場長と競馬評論家の二人に馬が2頭もライフルで撃たれた。殺された評論家の妻とその友人が真相を探っていくと、事件の裏には恐るべき秘密が隠されていた・・・
 乱歩賞を受賞した作品だけあって、しっかりとした構成とラストの意外なアクションと急展開が楽しめた。それにしても20年以上前の話なのに、主人公の生活や考え方にそれほど古めかしさは感じられないが、それが逆にケータイやメールがないことによる連絡の不自由さ(というか不自然さ)を際立たせてしまっている。もちろんケータイが普及したのはせいぜい10年前であり、それまでは緊急連絡は電話しかなかった。なので、このようなミステリィがなんとなく違和感を感じるはずも無かったのである。
 いわゆる犯罪小説やミステリィの分野では、その時代にあった小道具を使うのだが、テクノロジーの進歩が速いとどうしても小説自身の陳腐化も速くなってしまう危険がある。DNA鑑定などの科学捜査が発達してしまうと「謎の殺人事件」は書きづらいだろうし、ケータイ電波からすぐに発信場所を特定できてしまっては「誘拐事件」は成り立ちそうもない。ミステリィ作家の苦労は絶えないのだろうが、逆に最新の小道具をネタにしたアイデアも生まれ易いのかもしれないが。
 話が逸れたが、競馬界を巡る環境はそれほど変化がないようなので、このミステリィの核となるアイデアは今でも一般的には説得力があるのだろう。変な言い回しなのは、私自身は殺人を犯してまで守らなければならなかった『競馬界を揺るがすほどの秘密』という動機に、納得感を得られていないためである。あくまで個人的感想ではあるが・・・

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