【2009/3】キャラねっと完全版 愛$探偵ノベル
№15 キャラねっと完全版 愛$探偵ノベル 著者『清涼院 流水』 角川文庫 603頁 ☆☆☆
いや~ライトノベルだったんだ。知らなかった。噂の清涼院流水(せいりょういんりゅうすい・それにしてもふざけた名前だ)の作品を、未だ読んでいなかったので、とりあえず目に留まったこの本を読んでみたのだった。巷では衝撃のデビュー作「コズミック」と騒がれていた作家なので、かなり期待していたのだが、???なのだ。いや、決してレベルが低いのではなく舞じょう並のインパクトを期待していたのだが、実に健全な青少年向け"ラノベ"だったので、肩すかしをくらった気がしただけなのだ。最初から"ラノベ"のつもりで読めば、なかなかお勧めの作品であることは確か。オンラインゲームがまだまだ実際に流行る前から、このようなアイデアを次々と繰り出したのだからかなりのアイデアマンだ。
青少年だけが参加できるオンラインゲーム「キャラねっと」。世界中で大人気のこのゲームは、プレイヤーが3D表示のキャラクターになりきって学校でバトルやクイズで競い合うゲーム。毎晩のようにそこに参戦していた双子の姉弟2人は、ある日突然ゲーム中に事件に遭遇する・・・。
バーチャル・リアリティ(VR)といえば、一般的には映画『マトリックス』が最も有名か。しかしVRの中で生じた事件を描いたミステリーなら、いくつか名作がある。森博嗣のS&Mシリーズのなかの傑作『有限と微小のパン』とか、岡島二人のミステリー『クラインの壷』だ。両方ともかなり大がかりなVRという設定だったが、なかなかリアリティがあり、ミステリーとしても十分秀抜だった。それに対してこの「キャラねっと」は、3Dとは言え今では珍しくないオンラインゲームの世界。一時かなり評判になり、今では話題にもならなくなった米国製「セカンドライフ」とほとんど同じような設定だ。なので、その世界感には違和感は無い。ただミステリィとしては、謎が弱いので簡単に分かってしまうのが難点。もっとも中高生の読者がターゲットなので、いたしかたがないか。
それにしても、オンラインゲームのの中で繰り広げられる、学校生活はなかなか楽しそうだ。格闘技やクイズで成績が決まり、進学できるのは当然として、キャラの可愛さを人気投票で競う美少女コンテストは、面白い。読んだ本は角川文庫だったが、コンテストにエントリーした各キャラを、イラスト付きで紹介したり、いかにもラノベっぽい造りだ。これを角川文庫から出すのだから、ターゲットを誰に想定しているのかが不明だが、大人が読んでも楽しめるエンターテイメント本であった。

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